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2016年に海外で配信されたタイトルで、ついに今年に入り待望の日本語化が配信されました。既に数々の受賞を受けたタイトルなだけに非常に期待をして買ったワケですが.....


良い点
・楽しい無線会話、演技も上々
本作は森林火災監視官(監視塔から見張る仕事)となった主人公「ヘンリー」が、どうしてそうなるに至ったのかの回想から始まります。
冒頭の事なので普通に書いちゃいますが、ヘンリーはバーで知り合ったジュリアと惹かれ合い結婚。その後幸せな日々を送るが、ある日妻が30代にしてアルツハイマー病(認知症)にかかってしまう。最初は物忘れ程度ですがどんどんと症状は悪化していき、生活にも当然支障が起きる
その辛い現実を送っていく中で森林火災監視官のチラシを発見し、逃げ出すかのように応募した

というのが冒頭

何というか開始直後からこんなの見せられる訳ですからいきなり気分が滅入ります
そして勤務初日に担当する監視塔の無線機で、上司となるデリラと出会う(実際に対面してるワケでは無いが)
で、その無線による会話なんですが最初はやや互いに壁を感じるやり取りですが次第に打ち解けていきジョークや雑談による会話が非常に面白い。
マップ上で発見した地形アイテム気候といったほとんどの物に対して無線で報告する事ができそこから真面目でタメになる話だったりそこから笑い話に発展していったりする。
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 そして面白いのがこちらからの返答、主人公はドラクエ主人公などと違いキチンと喋る事は出来るが度々選択肢が現れ、選択肢によってデリラの対応も変わってくる
ちなみに制限時間以内に何も答えないと無言という返答として受け止められます。

私は早い段階で色々詮索してくるデリラに対し、自分の事情を話しその上でデリラの身の上話も聞いては互いの関係性を深めていきましたが返答次第ではへそを曲げ離席中になってしまうことも
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会話が面白いというだけなら他のゲームにもいくつか思い当たりますが、本作は基本的に喋るのはこの2人だけに絞られており、日を追うごとに2人の関係性が密になっていくのも目に見て分かるので会話する事自体が楽しくなっていく。
冒頭での気の滅入りが嘘のように気持ちが軽くなっていくのは、ヘンリーのみならずプレイヤーも感じるでしょう。



・現実味帯びたアクションとマップ探索

本作はある程度の広さを持つ箱庭マップで構成されており、基本的には特別な制約は無くその中を行動する事が出来ます。しかしオープンワールドタイプのゲームでよくあるちょっとした段差ならテキトーにジャンプして登れたり、かなり急な崖だが垂直ではなく傾斜が付いてるから滑るように下へ降りられる
といった曖昧かつ大雑把な動きは一切出来ないようになっています、そもそも危ない場所は勝手に降りたりは出来ないようになっている。故にゲームオーバーという概念もありません
ちょっとした崖などはゲーム慣れしてるとどうも普通に降りられるんじゃないか?と思ってしまいますがロープを使わないと降りられなかったりと、一見不便
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↑これは降りる際にロープを使いました。この程度もロープ無しでは降りられない.....
 ですが、上で挙げた無線による2人の会話は演技も相まって現実味がありこれらの現実的な移動もまたそのリアルさの裏付けのように捉えられ私は良いと思いますね。それにロープや杭が手に入ると行ける場所が増えるのは普通に嬉しい瞬間ですし。

そして極めつけはマップの移動ですね。通常の画面ではミニマップや画面上部に常時表示されるTESシリーズ等でお馴染みのコンパスはありません。では何を基準に移動するのかというと手に持った地図とコンパスです。
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それぞれ手に持つ事ができ地図で進行方向と方角を確認しながら移動するので、こちらも不便に感じる反面、簡素な地図を元に自分で道を覚えていく楽しさは中々のもの
マップのあちこちにある回収箱の中には などのアイテムの他に地図がありしっかりとした道のりや川の名前といった情報を手元の地図に書き込む事でより使い勝手の良い地図に更新していく事が出来る。
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小さな事だがこうした1つ進化した地図を見てニヤっとしちゃう、不便ながらも少しずつ情報が充実したり道を何となく覚えていったりといったフィールドワークが中々に面白いです。

少し道に迷ってもデリラに無線で目的地への正しい行き方のアドバイスも貰えるので、そんなに心配は要らないでしょう




悪い点
・処理落ち気味
激しいアクションシーンがある訳では無いので、そこまで気にする必要はありませんが一応悪い点として挙げときます
正直そこまで言うほどのものではない、問題なのは次の項目


・ミステリーの真相
本作のジャンルはミステリーアクションアドベンチャーと釘打っています、その為ミステリー部分は非常に重要な部分。実際のところ本作のミステリーは中々怖い
とりあえず公式PVでも見てくださいな

誰かが自分たちに干渉しているのは明らかなのにこちらからは上手いこと尻尾を掴めない、それでも刻一刻とゲーム内で日にちは過ぎていきますから、いつか探索中に襲われてしまうのではないか?監視塔で寝ている時に殺されるんじゃないか?一体誰が行っているのか?何が目的なのか?
といった不安が常に付きまとい為緊迫した状態が続き、ジリジリと精神的に追いやられていく。
と...そこまでは良いんです、というかめちゃくちゃ良い。

しかし、真相はこちらが思い描いていたほどの物では無かった.....
確かに不安材料が多すぎるが故に色々と考えすぎてしまっただけなのかも知れませんが、どうも腑に落ちない
そこに至るまでのお膳立ては完璧と言って良いものだというのに、これは......
結局色々と考えすぎてしまう時が一番楽しかったのかも知れません。中盤以降はほぼこのミステリーに関わる会話や探索が主であり、散々こちらの精神攻撃してきた末にこのオチは弱いなぁと.....

ま、流石にそのオチはここでは話せませんが私はイマイチに思えた


まとめ
会話やデリラとの関係性に比重を置くか、ミステリーの筋書きに比重を置くかで大分違う印象を受けるとは思うが、私は会話やマップを歩くのも楽しいと思いつつミステリー要素にはドキドキしっぱなしで一体どんな真相が待っているのか期待していただけに残念な感じた

アクションやRPGであるなら、話が微妙でもどこか違う所が十二分に面白ければ良かったと思えるんですが(戦闘やシステム面など)、本作のジャンルはあくまでアドベンチャーで会話や探索がストーリーと密接に関係しているワケですから(中盤以降は特に)そこをあまり切り離して考えるのは違うような気がします。あくまで私の意見ですが......
という事で私としては申し訳無いですが、過程に対してオチがイマイチなゲームという所で落ち着きました